土用の丑の日に「うなぎを食べよう!」とワクワクする人は多いと思います。しかし、もし子供に「土用の丑の日ってなに?」と聞かれたら、わかりやすく意味を説明できますか?
「土用の丑の日の意味って何だっけ…」そう思ったら、この記事でわかりやすく説明していますので見ていってください。
土用の丑の日の意味は?
「土用の丑の日にはうなぎを食べる」というイメージのある人が多いと思います。
土用の丑の日が、夏ごろだとなんとなくわかっている人は多いと思いますが、具体的にいつなのかを紐解くために、まずは「土用の丑の日」の意味についてわかりやすく解説していきます。
「土用」の意味は?
土用は中国の陰陽五行説に由来する言葉です。
陰陽五行説では、それぞれの季節に万物の根源となる要素を当てはめています。
春=「木」 夏=「火」 秋=「金」 冬=「水」
そして、「土」は各季節の変わり目を差しています。
「土」は立春・立夏・立秋・立冬のそれぞれ前の約18日間に当てはめられます。
この約18日間を土用と呼びます。
つまり、土用は夏だけではなく、春夏秋冬それぞれに対して年4回あります。
また、「土用」は「土旺用事」の略語で、この時期には土の気が旺盛(さかん)になるといわれています。
そのため、土用の期間には土にまつわることを避ける風習がありました。
例えば、土用の期間に穴を掘ったり、畑を耕したり種まきをしたりしない。お葬式を延期する、などの措置が取られていました。
土用の期間は季節の変わり目にあたるため、耕作や井戸掘りなどの重労働をすると体調を崩すため避けたほうがいい、という先人の知恵なのだと思います。
また、土用には「入り」と「明け」、始まりと終わりの日があります。
土用入りの日は、太陽黄経といわれる太陽が天球経路を通る角度で定義されています。
・冬の土用:太陽黄経297度
・春の土用:太陽黄経27度
・夏の土用:太陽黄経117度
・秋の土用:太陽黄経207度
2020年の夏の土用入りは、7月19日からとなります。
なお、土用の明けの日は、立春・立夏・立秋・立冬のそれぞれ前日です。
2020年の夏の土用明けは、8月6日です。
つまるところ…
「土用」というのをわかりやすく言うと、中国から伝わった季節の考え方を基にした、季節の変わり目を表す言葉です。 |
「丑の日」の意味は?
続いて、丑の日の意味についてわかりやすくお話しします。
昔は、日にちや年・月・時間・方角をあらわすのに十二支を使っていました。
ね、うし、とら、う…と覚えたアレです。
子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥、という十二支を一日ごとに当てはめて、13日目には最初の子に戻ります。
土用の期間のうち、この十二支であらわす日にちの「丑の日」にあたる日を、「土用の丑の日」というのです。
ちなみに、土用の期間は約18日ありますので、年によっては2回「土用の丑の日」がある場合もあります。
2020年も2回「土用の丑の日」がある年です。
一回目の「一の丑」は7月21日、二回目の「二の丑」はその12日後で8月2日です。
なんだか得した気分ですね。
つまるところ…
「丑の日」を子供にもわかりやすく言うと、昔の日本では十二支(干支)で日にちを表していて、土用の期間の中で丑の日にあたる日を「土用の丑の日」といいます。 |
土用の丑の日にうなぎを食べる意味は?
「土用」も「丑の日」も、江戸時代までの日本では普通に用いられていた季節や日にちの呼び名です。
では、どうして現代では「土用の丑の日」を特別にうなぎを食べる日として扱うようになったのでしょうか。
その理由は、江戸時代のうなぎ屋さんの宣伝文句が由来になっているとされています。
うなぎは、季節を通して漁獲があるのですが、冬に脂がのるために「冬の食べ物」としての認識が強く、夏には売れない商品だったのです。
しかし、商売人としては一年中ものが売れるようにしたいですよね。
そこでとあるうなぎ屋さんが、発明家として鳴らしていたアイデアマンの平賀源内に相談しました。
源内さんや、夏でもうなぎが売れるようにするにはどうしたらいいと思うかい?
そうだねぇ、丑の日に合わせて「う」がつくものを食べると縁起がいいっていうのはどうかね?
さっそくうなぎ屋さんは「土用の丑の日」に宣伝文句を書いた紙を貼ってうなぎを売り出しました。
すると、しゃれ好きの江戸っ子に大うけし、「土用の丑の日」のうなぎが定着したといわれています。
土用の丑の日に食べるうなぎ以外のもの
土用の丑の日にはうなぎを食べるのが今では一般的ですが、他にも食べるといいとされるものがあります。
また、古くから土用の風習として食べられているものもあります。
「う」のつく食べ物
上記の「土用の丑の日に「う」がつくものを食べると縁起がいい」という話と結びついて、「うどん」「梅干し」「瓜」などを食べるといいとされています。
うなぎのかば焼きが用意できなくても、梅干しを添えた冷たいうどん、デザートにスイカなんて最高ですね。
土用餅
土用に食べるお餅を土用餅といいます。
土用餅はあんこで餅を包んだものです。赤福みたいな感じです。
現代でも、和菓子屋さんで土用餅を購入することができます。
土用餅はかつての宮中の風習で、ガガイモの葉の煮汁で餅を練って丸め、みそ汁に入れて食べていたそうです。
暑い夏に向けてみそ汁で水分と塩分、お餅でエネルギーを摂れて理にかなっています。
江戸時代には、小豆の赤い色の持つ魔除けや厄除けの意味を担いで、あんこで包むようになったということです。
土用しじみ
しじみは夏と冬が旬で、特に夏の「土用しじみ」は産卵を控えているので身が大きく、栄養価も高くなります。
ビタミンや鉄分が豊富なので、疲労回復・肝機能の向上・貧血や高血圧を予防する効能があります。
土用しじみもうなぎに負けないくらい、暑い夏に向かう「土用の丑の日」に適した食べ物といえます。
「土用の丑の日」をわかりやすくまとめ
土用の丑の日の意味をまとめてきました。
季節の変わり目にあたる「土用」の中の、丑の日にあたる日を「土用の丑の日」といいます。
土用の丑の日にうなぎを食べるようになったのは、平賀源内の巧みな宣伝文句がきっかけだったようです。
暑い夏に向けて、うなぎなど栄養価の高い食べ物をしっかり食べて乗り切っていきましょう。