大人も子供も大好きな行事、クリスマス。
豪華なごちそうに、枕元にはプレゼント…子供の頃は、楽しみで眠れないくらいワクワクする日ですね。
しかし、このクリスマスがそもそもどんな風に始まったのか知っていますか?
子供から「どうしてクリスマスにサンタさんがくるの?」「どうしてクリスマスはあるの?」と聞かれて困った方も多いのでは。
今回は、私たちが知っているようで知らない「クリスマスとはそもそも何?」について、起源や行事の意味を紹介します。
クリスマスの意味はそもそも何?
「クリスマス」という言葉の意味はそもそも何なのでしょう。
クリスマスを英語で“Christmas”と書きます。これは、“Christ”と“mas”の二つの言葉に分解できるのです。
Christ:キリスト
mas=mass:ミサ(キリスト教の祭礼のこと)
つまり、クリスマスを直訳すると「キリストのミサ」ということになります。クリスマスは、イエス・キリストの生誕を祝う祭礼のことなのです。
クリスマスはなぜ12月25日なの?
クリスマスの日、12月25日はキリストの誕生日だと思っていませんか?
実は、キリストが実際に生まれた日は12月25日とは違うらしく、キリストの誕生日は3月や5月という説があります。
12月25日は、あくまで「キリストの誕生を祝う」日です。
西暦336年から、この祭礼が12月25日に行われることが定着し、現在まで残っているといわれています。
では、何故12月25日にキリストの誕生を祝う祭礼をしていたのかというと、その日はローマの冬至にあたり、昼の時間がこれから長くなる“光が蘇る日”とされていたからです。
キリストは「世の光」や「正義の太陽」などと聖書の中で呼ばれ、光を象徴する存在だったのです。
ちなみに、キリスト教の教派の一つ、ロシア正教で使用している暦の違いから、ロシアでは現在も1月7日にクリスマスを祝います。
サンタクロースはそもそも誰?
クリスマスに子供たちが心待ちにしているのがサンタクロースですね。
赤い服に白いひげをたくわえて、空飛ぶソリをトナカイに引かせて世界中の子供たちにプレゼントを届けるというのが日本で一般的にイメージされているサンタクロースの姿です。
サンタクロースはそもそも何者なのでしょうか。
サンタクロースのモデルとされているのは、4世紀ごろに実在した聖ニコラウスという司教です。
聖ニコラウスは、貧しい人や無実の罪を着せられた人を救ったという伝説が残されていて、人々にあがめられていました。ヨーロッパでは12月6日に聖ニコラウスの命日の祭礼があります。
この聖(セント)ニコラウスという呼び名がなまってサンタクロースに変化したといわれています。
こうしてみると、聖ニコラウスとクリスマスには直接関係がないんじゃない?と思う人もいますよね。
キリストが生まれた時に賢者からの贈りものを得たという逸話があり、これが聖ニコラウスの伝説と混ざって、人々に贈り物を届けるサンタクロースが生まれたといわれています。
ちなみに聖ニコラウスは白髭で赤い服を着ていたわけではなく、普通の司教の格好をしていました。現在私たちが思い浮かべるサンタクロースは、コカ・コーラの広告ポスターに描かれた「サンタクロースとされるもの」のイラストが世界中に広まったものと言われています。
なお、イタリアではサンタクロースではなく魔女がプレゼントを配ってくれるそうですよ。
クリスマスの飾りの意味は?
クリスマスにはツリーやリースなど様々な飾りをしますよね。クリスマスの飾りの意味もいろいろな説があるのです。
クリスマスツリー
クリスマスツリーは、常緑針葉樹(もみの木など)で作られ、リンゴやろうそく、星など様々なオーナメントで飾られます。
これは旧約聖書に出てくる、アダムとイブが食べた禁断の果実を実らせる「知恵の木」が由来です。
クリスマスツリーにリンゴの飾りをつけるのは、禁断の果実のイメージからのようです。また、ツリーのてっぺんに飾られる星は、東方の賢者をキリストの生誕地へ導いた「ベツへレムの星」に由来しています。
クリスマスリース
古代ローマ人が花や植物で作った輪っか状の飾りをする風習を持っていたとされています。リースの輪は「永遠」を表していて、幸せや繁栄がずっと続くようにという意味です。
クリスマスのリースは、ツリーと同じ常緑針葉樹で作られてリンゴや星など様々な飾りをするのが一般的です。
靴下
クリスマスに靴下を飾るのは、先ほどの聖ニコラウスのエピソードと関係があります。
ある貧しい家があり、もう娘を売らなければ食べるものがないというところまで追いつめられていました。これを知った聖ニコラウスが、夜の間にその家の煙突から金貨を投げ入れました。
たまたま、暖炉につるしてあった靴下の中に金貨が入り、おかげで娘は売られずに済み家族が救われたという話があります。
お気づきかと思いますが、このエピソードは「サンタクロースは煙突から入ってくる」ということの由来にもなっています。
クリスマスイブの意味は?実は”前夜”じゃない?
クリスマスといえば、12月25日の前日である12月24日を「クリスマスイブ」と呼びますね。クリスマスイブの“イブ”ってなんの意味でしょう。
クリスマスの”前夜”じゃないの?と思う人がほとんどだと思います。実際に、クリスマスイブの”Eve”には、「前夜」という意味があります。ところが、クリスマスイブの”Eve”は実は前夜という意味ではないのです。
クリスマスイブの”Eve”は、Evening(夕方)の古代英語である”Even”の短縮形なので、クリスマスイブの本当の意味は「クリスマス(当日)の夜」なのです。
なぜ、現代と言葉の意味が違うのかというと、現代の暦とクリスマスができた時代の暦では、日付の変わるタイミングが違うからです。
現代使われているグレゴリオ暦(太陽暦)では、午前0時に日付が変わりますが、クリスマスができた当時に使われていたユダヤ暦や教会暦では、日没を境に日付が変わります。そのため、日没=Eveningの瞬間に日付が変わるので「12月25日の夜」になるのです。
本当は怖いクリスマスの意味?
美味しいごちそうにキラキラしたイルミネーションなど、楽しくうれしいイメージのクリスマスですが、実はこれらは近代になってアメリカが商業的に作ったクリスマスのイメージで、クリスマスには本当は怖い意味もあると言われています。
クリスマスのちょっと怖い意味についてもまとめてみました。
12月25日が異教徒の祭礼説
キリストの生誕を祝う祭礼が行われる12月25日は、バビロニアの支配者、ニムロドの生誕祭とされています。
ニムロドは旧約聖書に登場する神への反逆者で、キリスト教に敵対する宗教を作った人物とされています。
陸続きで古代から様々な民族が住んでいるヨーロッパでは、宗教や文化の違いで争い、時には強きものが相手の国や民族ごと滅ぼすこともありました。キリスト教勢力が異教の祭礼を上書きするために12月25日をキリストの記念日にしたと考えられるのです。
サンタクロースは悪魔説
古代ローマがキリスト教を国教に定めたころ、異教徒であるアングロサクソンの民族は、もともと12月に行っていた「12月の悪魔の休日」という儀式を「クリスマス」に改めて続けることを許可されました。
アングロサクソンの宗教は、キリスト教の人々から見れば“悪魔崇拝”と言えるものだったようです。
また、子供たちに菓子を配るなど施しをする聖ニコラウスの裏の存在として、クランプスという悪魔が存在すると言われています。
この話は主にドイツで語られているもので、聖ニコラウスが良い子にご褒美を与える裏で、クランプスは悪い子を鞭打ったり自分の巣に連れ去ってしまうと言われています。
現在でも悪い子にお仕置きをする「ブラックサンタ」の話が出ることがありますが、その由来がクランプスという悪魔なのです。
まとめ
クリスマスとはそもそも何なの?という疑問にお答えしてみました。
楽しいイベントのクリスマスですが、その由来にはヨーロッパの伝説や宗教観が詰まっているのですね。
クリスマスを楽しみつつ、たまにはクリスマスの知識を深めるのもいいのではないでしょうか。